【実践技術書】Selenium実践入門
「Selenium」をつかったブラウザテストの導入から実装、事例の紹介などを行った網羅的な本です。
網羅的に書かれていることもありますが、経験から得られる様々な知見が載っており、具体的な実装に活かすことができます。Seleniumを用いたブラウザテストの導入を検討中のテスト担当者にとって、大いに参考になります。プログラマ向きの内容ですが、テスターに対しても内容を共有できるといいです。
Seleniumの基礎知識
テスト自動化についての知識を学びます。どんな恩恵を受けられるのかといったことが主な内容です。 個人的な経験では手動テストを行っている場面はまだまだ多いのではないかと思います。なかなか完全に自動化することは難しいと思いますが、取り組むだけでも大きく意味があると思います。軽く見られがちですが、構築以上にテストの工程は大切にするべきです。
WebDriverの基本
セットアップ手順から基本的なスクリプトの書き方、応用的な使い方も説明しています。様々なプログラミング言語でのセットアップ手順が用意されています。Java・Ruby・Python・javaScript・C#が挙げられていました。
テストスクリプトの書き方、運用方法についての技法も紹介されています。かなり詳しく書かれているので、一通りやるだけで大抵のことはわかるようになると思います。覚えきれないくらいなので、なんとなくこんなことしたなと言う記憶を残してサクサク進むのがいいです。
複数の言語の実装が記載
本は分厚いですが、複数の言語について書かれています。ですから、自分の該当するもののみ抜き出して読めば、思ったよりボリュームは少ないです。ソースコードはそれほど多くありません。どちらかといえば実装や運用に当たって注意すべきことと、導入方法に重きをおいたような印象です。ためになる考え方や、設計すべき点が書かれており、運用する際には役に立つと思います。チーム全員で回し読みしたりするといいと思います。
便利なライブラリの紹介
WebDriverをよりシンプルに実装できるようになる、いくつかのライブラリの紹介です。 あまり詳細には読まなくてもいいと思います。あったら便利ですがなくてもできますし、余計な懸念や学習が必要になるかもしれません。
サイボウズやDeNAでの実践的な運用
テスト工程の運用で起こりがちな問題と解決方法が書かれています。 他にも実際の企業での運用の経験談も書かれています。サイボウズとDeNAでの運用の実態と知見を学ぶことができます。設計段階での考察・検討や運用したうえでの評価など、実体験に基づく情報になっており学べることが多いです。ここで紹介されている運用ノウハウを真似して取り入れてみるのもいいですし、参考にしてカスタマイズするのもありだと思います。
CSSセレクタやWebDriverのリファレンス
付録にリファレンスがついており、読み終わった後もリファレンス本として参考になります。
プログラマ向けの内容
プログラミングレベルでの実装については、詳細には書かれていない印象です。基礎的なことがわかっている状態であれば、この内容を参考に十分実装できると思いますが、プログラミング経験の少ないテスト担当者とかだと難しいと思います。
プログラマとテスターが協力して、テストの環境を作り上げていく必要があります。その点でも、この本を一緒に読んで、協力しながら環境づくりに取り組むことに意味があると思います。
おわりに
構築するに当たってテストは大切なプロセスですが、軽く見られがちな時代もあったと思います。今ではTDDなど存在していますが、しっかり目を向けるべき点だと思います。
正しい実装を行うためにも、一度テストの工程を見直して見るのも効果的です。構築者がテストについても面倒を見てあげられるような環境だと良いです。プラグラミングがわからない人に導入を進めてもらうのは難しいです。
良いプロジェクトではテストも整っている印象です。テストにかけているリソースや整備状況などで、よい環境かそうでないかのある程度の判断要素になると思います。