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【おすすめ読書】観察力を磨く 名画読解2019/03/06

【おすすめ読書】観察力を磨く 名画読解

数々の名画を始めとするアートに対して分析を行うことで、知覚の技法と呼ばれる4つの能力を身に着けます。 美術館などに行って絵が見たくなるとともに、いろいろなところで観察力を発揮したい欲求が湧いてきます。

この本では「知覚の技法」と呼ばれるものが登場します。それは、大きなくくりで言えば観察・分析・伝達・応用の4つの核を持っています。

FBIの訓練や医者の指導などにも用いられているらしく、エピソードの中には物々しいものもあります。ですが、あまり身構えずにラクな気分で読んで問題ありませんでした。基本的にはアートの知識など全くない状態でも読むことができます。

絵や物事から核となる情報を見つけることはもちろん、優先順位をつけて整理すること、結論を導き誰かに伝えるところまでが一連の技として紹介されています。 「見つけること」と「伝えること」の比重が同じくらいになっており、さまざまな場面で活かせる内容だと感じました。

なぜアートなのか

最新の脳トレとかでもいいのでしょうが、アートから学ぶことには理由があります。

昔から存在しているため何が書かれているのかが明らかになっていること、「途方もない量の経験と情報の蓄積である」ことが主な理由です。 鑑賞者に対して平等に存在しており、話しかけてくることもなければ動くこともありません。解釈にかかわらず常にそこに存在します。

普段、私達は無意識に緊急度の高いものに注目してしまいます。何気ない日常や平凡に見える絵画の中におもしろいことが潜んでいます。そのことに気づかせてくれました。

アートには明確な解答があるが、自由な解釈を行うことができることもアートを題材にする意味になっています。

能動的に観察する

漫然と眺めるのではなく、頭を使って積極的に情報を収集します。能動的に観察を行う、すなわち見るだけでなく観察することが必要です。

人間は無意識に個人ごとの「フィルター」を持っており、同じものを見ても認識しているものが異なります。自分の見方が正しいのかどうか、他者にはどう見ているのかといったことを常に意識しましょう。自分と異なる見方があること、それを受け入れる寛大さをもつ必要があります。

この「フィルター」は自身の経験に基づいて生成されており、判断の原因となった要素について考えることでフィルターの影響を軽減できます。昔の経験、育った環境や場所、最近合った印象的な出来事などが原因であり、それを思い返すことが効果的です。ちなみに、幼い子供は経験が少ないためフィルターも弱いそうです。

自分の目で見た後に外部の情報や意見を参考にして、もう一度改めて見る、これが正しい見方に近づく方法です。自分のフィルター越しで見た解釈と、他の人のフィルターで見たときの解釈を比べてみましょう。 自分が色眼鏡をかけていることに気づいて始めて、眼鏡を外すことができます。

観察のポイントは「誰が・何を・いつ・どこで」そして、最後に「なぜ?」を問います。

優先順位をつけて区別する

情報に正しい優先順位をつけるために、日頃自分はどんな優先順位の付け方をしているのかを把握することから始めます。

脳には特徴的なところへ無意識に集中してしまう機能があります。そのため、ありきたりな部分は見落としてしまうことが多いです。重要な情報はそういったところにひそんでいることが多く、それを見落とさないためのコツや意識の方法が書いてあります。

嫌な気分になるアートに向き合う

不安感を煽るアートを分析して的確に描写できるようになると、口にしにくい内容をうまく処理できるようになります。

目を背けたくなる気分の悪いものに、あえて向き合うことで大きく成長できます。 行き着く先には、感情をコントロールできるようになり、危機的な状況でも淡々と対応できるようになりますそのことによって、真のリーダーのような振る舞いができると思います。

例えば、今感じているものが主観的な感情なのか、客観的な事実なのかを冷静に判断できれば、コミュニケーションの問題は解決できます。部下や同僚に言いにくいことを伝えるときも、このアドバイスは役に立ちそうです。

3つのR、リピート・リネーム・リフレイムによって落ち着いて解釈することができます。すぐに結論へ急がずに、ゆっくりと一呼吸をおいてから前に進むと良いです。

応用する

未完成の仕事があると、気が散ったり気なってストレスになります。未完成のものを完成したもののように扱う技術を憶えることでこの心配事を減らすことができます。

具体的な方法は、そのタスクの数や内容を確認して優先順位をつけ、対応の計画を立ててしまうことでした。そうすることで、未完成のストレスから開放され、目の前のことに集中できます

おわりに

繰り返し読みたくなる本です。

エンジニアにとっても、仕様を正しく理解できるようになったり、伝えるための文章を書く能力につながります。プログラムを読むときの手助けにもなるでしょう。 問題が発生したときにも思い出すことがあると思います。細かい情報を見落とさず正確に優先度をつけて報告できるようになり、嫌な部分から目をそらさずに勇気をだして報告ができると思います。

美術館とか行くのは好きだけどなんか物足りないという方や、自分にはセンスがなくて行く意味ないのだろうかと思っている方に読んでほしいです。絵画の見方が大きく変わりより楽しくなります。ただ、絵を見終わるのに時間がかかるようになると思います。

早速、美術館に行こうと思いました。

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