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レイアウト・色・フォント『デザインの授業』2019/04/10

レイアウト・色・フォント『デザインの授業』

デザインの構成術について学べる本です。「デザインを見る」ということに重きをおいています。 テクニックや基礎知識を1つずつ学んでいくのですが、全てに作例がついています。

作例はこの書籍用に作られたものではなく世の中にあるものを引用しており、実際に人気や実績のあるものが選ばれています。デザインの歴史の中から重要なものを選んでいるらしく、結構昔の作品も選ばれています。 もちろんデザイン的に優れたものばかりですので、作例集としても使える本だと思います。

解説もわかりやすい書き方になっています。その上、この本のコンセプトが「デザインを見ること」となっており、優れたデザインの探し方、見つけたときの観察方法・見るべき視点などが学べます。 この基礎的な能力を身につけることで、デザインに関する吸収力も向上できるのではないかと思いました。

デザインに興味のある人はぜひ一度、ゆっくりと読み込んでみてほしいです。

デザインの読み方

デザインする人の視点で世の中を見る。このことを意識してみます。 普段の生活で常にこのことを意識するのは難しいですが、デザインを好きになることがコツの1つとして紹介されていました。好奇心や興味といったものから始めるのは、悪くない選択のようですね。

量ももちろん大切なのですが、それに加えて質を追い求めることも重要です。一般的に良いとされるデザインを見ること、そして好きか嫌いかで終わるのではなく分析的な見方をして、自分の中に蓄積していくことが必要です。

製作時に行われたさまざまな判断、その判断基準を推測することで作り手の意図を理解できるようになります。模写することも大きな効果がありますが、この本では注意深く見ることでそれに近いことを学ぼうと考えています。

制作の中でどういう判断をしたのかをできるだけ言葉にしていきます。 言葉にならない経験はなかなか身につきません。言葉として整理することで脳に蓄積されます。

構成術

それぞれの章では、以下の3つテーマに分けて学んでいきます。 多数の実例を参照しながら、テクニックの説明を読んでいきます。図には線を引いたりポイントに印がしてあるので、「こういうところに注目すればいいのか」ということも理解できます。

レイアウトの構成術

西洋の歴史的なデザインを始め、日本の鳥獣戯画なども例にして紹介しています。対比であったり視線の流れの動かし方など、たtだ眺めているだけでは気づかないようなことを学びます。デザインの知識としては基礎の基礎ですが、これらのことに気づけるようになることがこの本の目的です。

意図を持って要素を配置しましょう。サイコロを振って決めるようなデザインをすると、美しいものになりません。意図が細部まで行き届いた明快な構造を目指すことが重要です。

写真の選び方にもいくつか考え方が乗っています。前後の瞬間を感じさせる写真を選ぶことで、静止画であるにもかかわらず躍動感のあるデザインに近づきます。

色彩の構成術

色相・彩度・明度を意識して、調和と強調を作り出します。 再度と明度を合わせたものが「トーン」で、純色に白黒グレーを混ぜることでつくることが出来ます。

デザインを見るときに意識すべきこととして、どんな色の組み合わせで調和またはアクセントを作っているか、同じトーンや色相の色はないか、ということが挙げられています。このことに注目することにより、自分が色を使う際のボキャブラリーとなって蓄積されます。

判断のための座標軸を持つこと、座標軸の目盛りを感覚的に把握できるようになると、色彩的な感覚が身についていきます。

白黒+1色でデザインするという取り組みも紹介されています。色の面積による見せ方の工夫であったり、色に持たせる役割をしっかり設計できるので、良い練習になるそうです。

タイポグラフィの構成術

多数あるフォントの関係を自分でマップ化してみます。そうすることで、それぞれのフォントの持つ特長が明確になり、デザインの際に理由や意図を持ってフォントを選べるようになります。

まず、書体には筆跡をモデルに作られたものと、幾何学的な発想で作られたものがあります。一緒に配置する写真やイラストの要素との組み合わせを考慮すると良いです。

他にもフォントを見るときには、文字の端の切り口・文字の幅・小文字の「x」の高さを見ると良いです。まとまりやクールさを重視するのか、勢いや元気良さを重視するのかといったことを決める要素になります。

ボドニーやフーツラ・ヘルベチカといったフォントを比較しながら、それぞれの特長や気をつけるべき点をまとめています。

他にも、コンピュータの発展とともに生まれたデザインフォントについても書かれています。個性が強く、特定の用途でしか使えないようなものが多いです。うまく使えば強い印象を与えることが出来ますが、扱いが難しく劇薬のようなものだそうです。

おわりに

デザインについての基礎的な知識が得られたと思います。大きくはレイアウト・色・フォントといったところです。他にもデザインを行う上で意識すべき点はたくさんあると思いますが、とりあえずこれらを記憶にとどめておきましょう。その上で、普段の生活で出会うデザインをよく観察して、その意図を理解できるように意識してみます。

「どういう意図があってこうしたのだろうか」ということがわかるようになれば、デザインの授業の成果だと思います。 良いデザインとは、細かいところまで全部に作り手の意図が感じらるものなのかなと感じました。

「デザインを見る」ということに重点をおいた説明・内容になっています。読み終わった後はぜひそのことを思い返してさまざまなデザインに触れることができるようになると良いですね。

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