Honmushi blog
2019/05/07

出版している本屋も面白そう『安西水丸さん、デザインを教えてください!』

安西水丸さんという方が作られた装幀を紹介して、そのデザインや作成時の思想を辿っていく本です。

装幀というのは独自のデザイン領域と思います。しかし、配置や文字などデザインの基礎的な要素も多く、一定の制約の中で情報を伝えるという点では、他のデザインと共通する点は多いと思います。個人的に最近興味のあるジャンルです。

装幀を読み解く

沢山の本の装幀について読み解いていくことでデザインの意図や効果を学ぶことが出来ます。 キャンバス・構図・モチーフ・線・色・文字・視点・顔と要素ごとに章がわけられています。先輩と後輩の会話形式になっており、画像も多いためさっくり読めます。デザインの難しい単語等もそれほど出てきませんので、読みやすい本でした。

「具体的にこうする」というテクニックやハウトゥではないので、そのまま真似できるような内容ではありません。概念の理解やインプットとしてはとてもおもしろいですし、装幀が好きとか水丸さんのデザインが好きという方に特におすすめできる内容です。

どの装幀も個性的でしたので、他の人の装幀も色々見てみたいです。本屋で並んでいるときにはごちゃまぜになっているのであまリ気になりませんでしたが、集めて並べてみると装幀にはデザイナーの個性が強めに出ているように思いました。いわれてみればオライリーもそうですかね。あれはまた別でしょうか。

自分の好きなモチーフを普段から意識しておき、その効果や意味をしっかり理解しておくと、デザインする上で武器になる。というところがとても面白い発見でした。本で紹介されている水丸さんはスノードームがそれだったそうです。「自分の好きなものを仕事で利用する」ということの答えの一つだと思います。なにか自分の好きなものを作っておく、日頃から追いかけておくと意外なところで訳に立つんでしょうね。趣味とかも積極的に取り組んでいきたいと思いました。

水丸さんは手書きの文字なんかも利用していますし、背表紙や裏表紙まで繋がった装幀になっていることも多く、装幀を立体的に捉えてデザインしていることがわかります。自分で書いた本の装幀も多くあり、それらもおもしろいものばかりでした。パッと素人目で見るといわゆる「ヘタウマ」という印象に到達するのですが、デザイナーの方による解説と分析・推測なんかがされており、新しい目線で装幀を眺めることが出来ます。

装幀についてのちょっとした学び

装幀の目的・効果として、人の目を引き、タイトルや著者に視線を誘導することがあるようです。他にも本の内容をイメージさせるような装幀なんかもあります。ページを思わずめくってしまうというのも良い装幀なのかもしれません。本の世界観や雰囲気なんかも表現できます。挿絵とかのイメージが近いのかもしれませんが、それともまた異なるようです。本棚にある本も意識しながら眺めてみようと思いました。

装幀という言葉の漢字には4つ種類があります。装幀・装丁・装釘・装訂です。どれも意味は同じようですが、正しいのはどれなのかはちょっと難しい問題のようでした。人によって違うようです。この本では「装幀」でした。

おわりに

この本を出版された株式会社Hotchkissではちょっと変わった本屋も経営しています。 書店兼ギャラリーの「Books under Hotchkiss」というところです。金沢の21世紀美術館のそばにあり、二階はギャラリー、一階は二階に展示した作品の作者のおすすめ本が置かれています。 作者のアウトプットとインプットを両方鑑賞できるような場所のようです。

books under hotchkiss

この本も、そのギャラリーに安西水丸さんの作品を展示する際の取り組みの一貫として執筆されているようでした。

この本読むまでこんな面白そうな本屋があることを知りませんでした。今度行ってみようと思います。 本屋で本と出会うのとは逆に、本で本屋と出会いました。思いがけない出会いでした。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
HOMEPROFILEPRIVACY POLICY