装幀は細部に宿る『「本をつくる」という仕事』
本を作る際にかかわるさまざまな仕事について、取材した記録をまとめた本です。
本を綴じる人や、装幀を行う人、本を書く人、書体を作る人など、1冊の本ができるまでにはさまざまな人が関わっていることが理解できます。さらにそれぞれの人の仕事の歴史や、現代での環境などについても取材されており、本への味方が変わるかもしれません。東北の震災の影響の話などもあり、これまで知らなかった本にまつわる環境の変化も知ることが出来ます。
本にまつわる仕事について理解することで、目の前の本に対する認識が変わるかもしれません。本を読んで本のことを知るというのもたまにはいいと思います。
装幀は細部に宿る
装幀の話では大抵の場合は夏目漱石の話が出てきます。ご存知の通り有名な本を執筆した方なのですが、いくつかの本に関しては自分で装幀を行ったそうです。著者が自ら装幀を行うことは珍しいそうで、よほどのこだわりか好奇心が合ったようです。しかも界隈では結構評判が良いというクオリティです。漱石の本では美しさ、そして装幀を行う自由さが現れており、装丁家の目指すべきものがここから現れる印象です。
時代が違うので、今のようにグラフィカルではないのですが、結構手が込んでいるらしく立派なものだそうです。一度見てみたいと思います。
子どもの読書
小さな子供向けの本に関する仕事にも触れられています。子供向けの本は大人が描いており、大人がおもしろいと思うものでも子どもがおもしろいと思ってくれるかどうかはわかりません。そんな面白さがあるそうです。
こどもが読書をして、次の本に進むまでの過程や選び方、本を読んでもらうためのコツなども少し書かれていました。
「魔女の宅急便」の原作者である、角野栄子さんの話もあるので興味がある方は必見です。創作に至るまでのエピソードや体験が書かれており、より深く作者と原作の絵本のことを知ることが出来ます。
おわりに
本を作るために関わる色んな人の歴史や環境についての取材でした。 想像する上で大切にしていることや、仕事をするまでのエピソード、クリエイティブの種となるような体験など細かく書かれているので面白かったです。
本に興味がなくても、さまざまな仕事について知ることができる良い本でした。 本や絵本に興味がある人にとっては さらにおもしろいと思います。