「ソフトウェアファースト」新しいITの文化づくり
ソフトウェアファーストという戦略についての本です。
ITエンジニアであれば十分に知っていることかもしれませんが、そうでない人にとって学びが多いと思います。 すでに知っている人にとっても、今時の開発や事業のフローや実例がわかりますので得られるものは多いです。
IT関連の専門用語についても図解とともに説明が載っているため、詳しくない人でも理解しながら読み進められます。 ITを利用するサービスやシステムを立ち上げるための文化・組織づくりの参考に成るのと思います。
以下、参考になった点をメモとして書き残しています。
ソフトウェアファーストとは
ソフトウェア活用を軸として、事業やプロダクト開発を進めいていくことです。 ソフトウェアが全てというわけではなく、あくまで一つの手段。 ソフトウェアの持つ特長を理解して、手段として事業に活用していくことが求められます。
ざっくり言うと
ソフトウェアの持つ特長を理解して、それを事業に活かせる人材を育てること。 それを活かせる組織であり、作っては壊す考え方を受け入れること。
課題
昔は良かったのだが、今は日本は取り残されているのではないか。
ビジネスモデルの変化や製造プロセスの大幅な変化に対応できませんでした。 考え方が固定的だったり画一的なため、ユーザーが本当に欲しいモノを作れていないことが原因のようです。
例えば、サービスをプラットフォーム化する、またはハードウェアと連携してリアルにより近いサービスを提供することが勝ち筋として考えられます。
どうすればいいのか
デジタルトランスフォーメーション すなわちDX。ITを手段として捉え、新たな価値を生み出すことが目標です。
各ポジションによって取るべき行動は異なるが、ITによる小さな可能性でもわかりやすく表現していくことが大切に感じました。 「言ってみたけども組織が変わらなかった」ではなく、実際にどれくらい便利なのか小さな発見でも実装して見せてみるべきです。「ソフトウェアの魅力を伝える」ことが必要です。
運用・改善のパートも初めから想定して計画できるようにしましょう。ソフトウェアの特性を活かすためにも、ないがしろにして進めてはいけません。 完成したから提供して終わりではなく、公開後もユーザーの意図やフィードバックを汲み取り、ユーザーが本当に求めていたものを提供できるように取り組んでいくべきです。
ITは手段の一つであり、他にも方法はきっとあります。それらが必要になる場合もあるので、広い視野で捉えるようにしましょう。 ときには組織の変革も必要で、文化ごと変わる必要があるかもしれません。できれば経営者やマネージャーが先頭に立って進められると良いです。
その結果
大きく会社やチームの文化が変わるかもしれません。そのような変化に対しても、寛容・積極的に取り組めるように成ることが重要だと思いました。 これまでに築いてきた価値に縛られることなく、ユーザーとのやり取りの中で本当に求められているものを取り出し、サービスやプロダクトに反映させていく柔軟さを用意しましょう。
個人の努力ではなく、経営や文化と言った大きな集団の中でそれらが培われていくことが、これからの時代で活躍する秘訣のようです。
おわりに
経営する上での評価の参考や、個人のエンジニアのキャリアについての考察などもあり、マネージャーも現場も誰が見ても学びがある内容でした。
ソフトウェアファーストな文化のためには、個人の取り組みだけでなく企業の経営からの取り組みによる変革も必要なことがよくわかりました。 さまざまな開発プロセスやフォーメーション、知識の説明・図解もあり、あまりITに詳しくない人にもわかりやすい内容でした。
ITにガッツリ携わっている人向けと言うより、これからITに関する取り組みを始める人であったり、経営や文化づくりが必要なポジションの人に読んでもらうといいと思いました。