【おすすめ読書】サイエンスの発想法
京都大学にて行われた、科学と生物学に関する講義の内容を本にまとめたものです。
大学生に向けて行われた内容を文章に起こしたもので、生徒に語りかけるような内容になっており、課題なんかも毎週出されています。
講義を受けるためには選抜があり、「科学をに興味を持ったキッカケになった経験や言葉」を提出するそうです。その際には3つのアドバイスが与えられ、「ユニークなこと」「真実を書く」「客観的に見る」といったことを意識するように求められます。このときからすでに「サイエンス力」のようなものが問われており、この後の講義の中でもそれらを学んでいくことになります。
基本的には科学を学ぶ学生とか、興味のある人が対象になっていると思います。 京都大学の人気講義ということもあり、内容はとても面白いです。生物学や科学を身の回りにあるものをメタファーに学んでいきます。ズバリ難しい化学式であったり概念も出てくるので科学的な話が多いですが、それ以外の部分でも大いに役に立つ知識や考え方が得られると思います。
サイエンス力を発揮したアイデアの考え方とか、学生が研究を行う上で必要になる力を身につけることになります。社会人であっても持っていない人のほうが多いと思いますので、読んでみるとおもしろいです。
各章の最後に実際に生徒に対して出題された課題があります。できるのであれば、都度その課題にも取り組んで見るといいと思います。
科学の合間に
遺伝子の構造やタンパク質についてなど科学の授業を進めていくのですが、その合間には研究に役立つサイエンスの発想法が出てきます。これが結構面白く、シャキで活躍するために役に立つものばかりです。
発想の定石、SCAMPER法
アイデアを出すための7つのチェックリスト、物事をこのチェックリストに当てはめながら観察することで、新たなアイデアをひらめくのではないかということです。逆にこの方法を当てはめれば、世の中のさまざまなアイデアを分解することも可能だということです。
- Substitute
取り替える - Combine
組み合わせる - Adapt
適用する - Modify、Magnify、Minify
変化・拡大・縮小する - Put to other uses
他に利用する - Eliminate
除く - Reverse、Rearrange
逆にする、順番を変える
ユニークさを生む体験
ユニークなアイデアをつくることは研究者にとって大切なことです。大抵のアイデアはすでに誰かが考えついているものであり、それらを交わしてアイデアを生み出すのはとてもむずかしいものです。
ユニークさを生むのは「体験」が重要らしく、それが個人的なものであればより役に立つそうです。講義では積極的に体験をしようということや、体験を研究やアイデアに活かそうということ、そして五感でしっかりと観察しようといったことを教えてくれます。
アイデアを実行する難しさ
アイデアは思いついても実際に行わなければ意味がありません。ちょっとした発見などに対して、自分もわかっていたとか、やれば出来たとかいう人がいますが、実際にそれを試すことに意味があります。 「そんなのありか!」と感じるものこそ、解決への近道だったりします。自分の中で勝手にルールを決めて狭い思考をしてしまわないように、気をつけるように教えています。
アイデアを思いついてそのままにしておくのではなく、実際にやってみよう、やってみたらどうなるのかと言うところまで進めることがサイエンスです。
おわりに
京都のローカルネタもちょっと入っています。知っているとおもしろいです。科学の講義なので難しい話ももちろんありますが、ところどころ面白い話が混じっているので最後まで読み進められるのではないでしょうか。
とても面白そうな講義だなと思います。学生のときにこのような講義が合ったら、科学に興味が持てそうですよね。できるなら高校や中学くらいで受けてみたいでもありますが、さすがに難しいでしょうか。
アイデアを出すときの参考にもなりますので、とてもいい勉強になりました。